現場で消える作業指示書の謎
「さあ、次の工程に取り掛かろう」と思った矢先、さっきまで手に持っていたはずの作業指示書が見当たらない。
このような経験はないでしょうか。
図面や指示書を機械の空きスペースに「とりあえず」置いてしまい、他の書類に埋もれたり、紛失したりする。
一枚の紙を探す時間はわずか数分かもしれません。しかし、それが毎日、工場全体で繰り返されると、目に見えない大きな損失となります。
なぜ「探し物」というムダが生まれるのか
生産管理システム「Assist(アシスト)」を導入すれば、事務所から正確な指示が現場に届きます。
しかし、システムがどれだけ便利になっても、「現場に届いた後の紙の扱い」が決まっていなければ、アナログなムダは解消されません。
原因の分析
・作業指示書を置く場所が決まっていなかった
・工具などの「モノ」に比べ、書類の管理は後回しになりやすい
このように、「どこに置いてもいい」という状態は、結果として「どこにあるかわからない」状態を招いてしまいます。
L型アングル一つで実現する「探さない」仕組み
この課題に対し、現場の作業者自らの提案で、全ての機械に専用の「作業指示書置き場」を設置しました。
改善の具体的な手順
- 整理: 置き場を作る前に、周囲の不要なものを片付ける
- 定位置化:L型アングルを重ねて、指示書が収まるホルダーを製作
- 表示・標識:誰が見ても「ここが指示書置き場だ」と分かるように設置
(左:ホルダーを裏から見た図、右:Assistから印刷した指示書を収めた状態)
この仕組みにより、Assistから印刷した指示書は、必ずこのホルダーに収まるという流れが確立されました。
1日15分のムダ削減 × 年間250日 = 年間 62.5時間の削減
「探さない」が当たり前になると、現場が変わる
ITシステム(Assist)と現場の物理的な工夫(3S)が噛み合って初めて、ITは真の武器になります。
「入力が面倒だ」と感じるITの壁を、現場の使い勝手を向上させる知恵で乗り越えた事例です。
「指示書を探すイライラ」がなくなれば、作業者は本来の「造る」仕事に、より集中できるようになります。現場から自発的に「次はこのムダをなくそう」という声が上がる。
そんな、現場が主役となる強い町工場への一歩を、まずは紙一枚の定位置から始めてみませんか。
※整理作業の詳細については、以前のコラム「第一歩は『生・休・死』区分で整理作業」をご参照ください。